リムルにとってベニマルと過ごす夜は性欲の為ではなく、好奇心を満たす為のものだった。ベニマルの暴走しそうな初な恋心に応えるつもりがないとは言わないし、思考加速の結果、ベニマルの事が好きでなければそもそもあんな事してないのではなかろうかと結論したので、最終的に伴侶になりたいというベニマルの願いを聞き入れたのだが、ベニマルの情愛と同じ程の熱量は残念ながら持ち合わせていない。
だから、ついついベニマルの心情よりもリムルの好奇心を優先させることがある。例えば、擬似的な穴はただの穴でしかなかったのだが、人間だった頃にお世話になった道具の事を思い出して、穴の内部に襞やら突起をベニマルに言わないで再現した時の事だ。
いつものようにリムルを愛撫した後、正常位でベニマルは挿入した途端に、目をかっぴらいてリムルの顔を見て、「うわ」とか「うう」とか呻きながら我慢していたのに、結局半ばに行くか行かないかで射精した時、リムルは物凄い満足感を得たのだ。今までにない強烈な刺激で崩れ落ちてしまったベニマルの頭を撫でつつ妙な達成感に満たされて以降、ありとあらゆる知識を総動員させて、ベニマルが顔を真っ赤にし、息を乱す様を見るのを楽しむようになってしまった。
男としてそれはどうなのか、と思わないでもないが、自分にベタ惚れの相手を手玉に取るというのは変な支配欲を満たしてくるので、どうしようもない。たちが悪いというのは自覚しているので絶対に言わないが。
因みにフェラチオについてはリムルもベニマルもあまり乗り気ではないので、実行したことがない。ベニマルがリムルに咥えさせるなんてと慌ててのけ反るし、リムルもやりたいわけではないから、恐らく色んな快楽を享受していても、こればかりは体験することがないと思われる。
さて、今夜はどんな中身が好きなのかを試そうとリムルは画策していた。ベニマルが実は祖先の残した春画とかその関連の本について記憶していたことが発覚した為、それを実践しようという事になったのだ。何でも、鎧姿の武者集団の中にその手の本を隠し持っていたり、絵を描ける者がいたという。戦闘集団の大鬼族からすれば重要視されるものではなかったが、内容の興味深さに大鬼族の男達は密かにそれを伝えてきたのだという。子作りが命懸けなのでそういった職や文化が魔物に存在していないのは理解出来たが、絶対その関連の興味がないはずがないと睨んでいたため、やはりそうだったかとリムルは納得した。ただ、魔物達は自制する必要がある為、それらの知識を得たところで日本の江戸時代並みのフリーダムな状態にはならなかったのだろう。
恋愛関係について未だに奥手なベニマルはこの手の知識についても苦手意識があるというか、ベラベラと喋ったりすることがなかったため、リムルも知らなかったのだが、リムルの興味を引くだろうからと自ら思念伝達したのだ。リムルからすれば、飛んで火にいるなんとやら、己から実験体になりますというようなものなので、ありがたいが大丈夫なのだろうかと密かに思いつつ、それらの知識を学んでいく。感想としては江戸時代の人間の自由奔放さに敗北したというところだったが、リムルとてベニマルとなら何だってやれるし、試すし、楽しむつもりがある。肉体の限界もないし、リムルは多少なら魔素を使用して肉体改造すらできるのだ。
そういう訳で、リムルの庵で二人は裸で向き合っている。ベニマルの腰に跨がり、ヒアリングを開始する。
「この前のはミミズ千匹……名前凄いな……これになる訳だけど、どうだった?」
目を泳がせて返事を濁そうとするベニマルの頬を両手で挟んでやると、困ったようにリムルを見つめてくるのに何とも嗜虐心を擽られるが、リムルとしてはそのベニマルが理性を手放して抱いてくるのが好きなので、ベニマルの好みを把握したいのだ。
「入れた瞬間からやばくて、正直、まともに覚えてないんだが……」
「んじゃもう一回する?」
「えっ」
既に準備をし終えている身体を、ベニマルの腰に擦り付ける。素股は何度もしたことがあるので、腰の動きも慣れたものだ。立ち上がっているベニマルのものが入り口にかすると期待が高まって、ドキドキする。
「ベニマルの感想聞かせてくれよ、な?」
顔を近付けて、かなりあやしげな笑みを意図的に作って見つめると、ベニマルがリムルの腰を掴んで切なそうに見つめ返してきた。多分、もう我慢ができないのだろう。いくら意味をなさない精液であっても中に入れたい気持ちがあるらしいから、それはベニマルの要望に応えていつもリムルは体に取り込んでやっている。くすくす笑いながら、「来いよ」と囁くと、ベニマルはリムルの中に入ってきた。耐えるように呻きながら、奥を目指しているのが、あまりにも色っぽい。性欲はなくなったと言えども、自分の体で感じまくっている相手を目の当たりにして何も感じないほど不感症になっていない。
「だめだ、良すぎる……何なんだよ、リムル様、やべぇ……」
「そんなに?」
「リムル様の中が絡んできて、先から根本までやばい、もうだめだっ」
ベニマルがリムルをきつく抱きしめると、中に液体が溢れかえる。息を乱して呆然としているベニマルに口付けると、鈍い動きだが返してくれた。リムルの想像以上の刺激で達してしまったらしい。緩慢な動きでキスし続け、中のものが萎えてとろりと精液が垂れた頃、ベニマルが一度抜いた。
「リムル様、こんなの連続でされたら、俺、おかしくなるぜ」
「ええ〜、俺はお前のその顔見てめちゃくちゃ楽しいのに」
「そりゃありがとよ……」
次は数の子天井というのを試した。奥の方にそれらしい突起を配置すると、ベニマルがおずおずと挿入してきた。ぶっ飛びそうな快楽に溺れることに未だ警戒心があるらしいのだが、その分だけ理性が飛んだ時のやばさがいいので、そのままでいてほしいと思う。
奥に入るまではベニマルの理性もしっかりしていたが、奥にあるぶつぶつと先端が出会ってしまってからは様子がおかしくなった。腰の抽送を繰り返している内にまたベニマルが歯を食いしばった。その苦しそうな切なそうな顔がまた唆るのだ。
「これ、先っぽがっ、吸い付いてきて、」
「さっきとは違うか?」
「全然ちげえ、でもやばい、また出るっ」
射精を終えて、少し涎を垂らしているのすら、何だか可愛らしくて、リムルはその涎を舐めてやった。腕をベニマルの背中に回して、落ち着かせるように叩いてやると、ベニマルはリムルの首筋に顔を埋めてしがみついてきた。
「ミミズと数の子、どっちが好きだ?」
「分かるかよ、ンなもん……どっちもやべえよ……」
「んじゃ、次は蛸だな」
「枯れる、俺、絶対枯れるぞ」
「大丈夫だって、お前の出したもん、まだまだ濃いぞ」
魔素が濃くて美味しい、と耳元で囁くとベニマルが顔を真っ赤にした。こんなにも抱き合って恥ずかしいことを沢山してきたのに、なんでこんなにウブなのだろう。そもそも、夜の相手は自分だけがいいから伴侶になりたいと言い出したのはベニマルの方だというのに、純粋な男である。
蛸壺は出し入れしている時の刺激がやばかったらしい。数の子はざわざわした感じと吸い付きの刺激が酷かったらしいが、蛸も蛸で吸い付きがすごいとベニマルは感想を漏らした。リムルは形を作り上げただけなので、その破壊的な快楽をあまり理解できていないのだが、ベニマルのうめき声の酷さにある程度想像がついた。しかし、どうにも反応からして吸引力より絡みつく感じが好きなようである。単なる締め付けなら今までもあったが、絡んでくるというのは初体験だったのだろう。
絶対ハマりそう、とにやにやしつつ、俵締めを再現する。その名の通り、中の形が俵のように部分部分で締め付けるものだ。いくつか種類があるようだったが、三段階でベニマルのものを締め付けることにした。これも出し入れする時が凄まじくて、いつもはリムルを気持ちよくする事に気を回すベニマルが自身の快楽を求めて何度も腰を打ち付けてきた。その顔がまためちゃくちゃエロくて、気分を良くしたリムルはタイミングを見てその締め付けの加減を変えてやった。ベニマルは大声で喘いで射精し、リムルの奥にその液体をこすりつけるような動きをした。今までで一番反応がでかかったから、これがベニマルの好きな中の形と言っていいのだろう。これとベニマルの好きな体位を組み合わせたら、ベニマルの理性など焼き切れてしまうに違いない。
「あ、俵とミミズ組み合わせれるんじゃね?」
「そんなのされたら一秒も持たねえよ!」
結局試したところ、ベニマルは申告通りすぐに達してしまい、かなり体力を消耗したのか、横たわってしまった。腕を広げて荒くなった息を整えようとしつつ、リムルを見つめるベニマルを可愛いと思うようになってしまったので、多分もう手遅れなのだ。
「今度は四十八手を試そうな」
身を倒して、よしよしと頭を撫でてやると、「マジで言ってます?」とベニマルが何とも言えない顔で聞き返してきたが、どうせ駅弁の時みたいにハマりまくってしつこく繰り返すのはベニマルの方だ。
リムルはにっこり笑ってキスをした。
