全身で熱を感じている時の気持ちをどのように言い表せばいいのか分からない。
体重の全てを掛けて押し潰され、身動きができないことに興奮している自分はあまりに変なのではないかとあとから思うこともあるのに、最中はただただ幸福感で満たされている。その上、更に欲しいと欲望が肥大して貪り求めている。
ベッドに縫い付けられるように押し倒される度、恵の心臓は痛いほど震え上がり喜ぶ。それぞれの手を宿儺に掴まれ、逞しい足腰で下半身の動きを封じられ、太くて長い陰茎を恵の尻に捩じ込まれるのが一等好きだった。
今も抜き差しせずに揺らすだけで、恵を追い詰めていく宿儺に胸がいっぱいいっぱいになって、唯一自由のきく口で喘ぎ声を漏らす。呼吸のために顔を横に向けたら耳すら宿儺の舌で犯されて、頭がぼうっとしてきた。
ぴちゃぴちゃ、くちゅくちゅと響く音が近すぎて、何も考えられない。腰の揺れる動きは変わらず力強く、恵は逃れられない。
ただただ宿儺から与えられる快楽を涙と唾液を垂らしながら受け入れる他ないし、それ以外の何もしたくない。
「もっと、もっ――! あっ!」
細く甲高い声が自分のものだと思いたくなかったのは随分前で、この声を聞かせれば宿儺がより激しく動いて求めてくれると理解してからは寧ろ聞かせてやりたいと願ってしまうようになった。追い詰めてほしい。逃げられないことを言い訳にさせてほしい。宿儺の肉体と快楽の檻に拘束して、何も考えないようにさせてほしい。
尻を締めれば、宿儺はぐっと更に奥に入り込んできた。これ以上ないくらいベッドに押し付けられている恵の陰茎は最早この刺激なしには達せない。
「お゛っ……!」
奥の奥に宿儺の存在と熱を感じる。深く繋がっている実感が恵の涙腺を緩めさせて更に涙が出る。気持ちいいのか苦しいのか、追い詰められているせいでわからない。だが求めていた刺激だった。宿儺で全てを満たしてほしかった。
「あ、あぅっ! あ…ッッ!」
ぐぅッと押し込められた瞬間、頭が真っ白になった。世界のすべてが遠い。何もかも感じているような、逆に感じられなくなっているような不思議な感覚。上下左右も分からない。ふわふわと浮いているような、沈んでいるような、そのどちらでもないような奇妙さが心地よい。
そのうち、宿儺の動きと熱が戻ってきて、恵は一人だけ達してしまったことを恥じたが、すぐに宿儺も同じようにさせたくて、腹に力を込める。
宿儺が達したのを腹で受け止めたとき、なんとも言えない達成感と幸福感で満たされた。この感覚は宿儺との行為でしか味わえない。
ずるりと抜けていく陰茎を惜しみながらも、口どころか顔中を舐めたりキスしてくる相手への愛おしさを抱きしめ、それでもなお残る二人の関係の問題について、恵は考えないようにした。

