深夜のコンビニバイトの時給の良さに釣られたが、腹の立つことが多い。ぼーっと立っているだけの時間帯もあるし、頭の悪そうなカップルがコンドームと夜食を買いに来た時の衝動といったら筆舌し難い。変な酔っ払いが来ることもあるし、治安の良いとは言い難い地域で深夜まで働くのが間違いだったのだ。しかし、これ以上の時給のバイトが家の近くで見つからない為に、結局こうして嫌な思いをしてまで金を稼ぎに来ている。
今夜も、顔の綺麗な大学生らしい男が夜食とコンドーム、下着を買いに来た。こういう男が女を食い散らかしてる所為で俺のような真面目な男まで非難されるのかと思うと甚だムカつくのである。この世は真っ当な男よりも、顔がいいとか金を持ってるとか身長が高いとか、表面的かつ即物的な要因で男を選ぶ女が多い。そのくせ、表面的で即物的で誠意のないような男達に弄ばれたと被害者面で真っ当な男も含めた大きな主語で男を貶すような女ばかりだ。無論、そんなふうに俺達を追いやるヤリチンも憎たらしい。
男は背が高く、髪型は自然派気取りのツンツン跳ねた癖毛でウニのようだった。一見すると品が良く、真面目そうではあるが、清楚な外見で男を手玉に取る女と同様に、男もこういう外見の方が質が悪いのだ。インタビュー記事で見たアプリで女をやり捨てる男の外見も、ぱっと見は誠実そうだったのに、結局インスタント感覚で女を弄んでいたし、誠実な関係ではなく刹那的な快楽の為に遊んでいるだけで、反省も何もなかった。こいつもそうに違いない。
こんな男ばっかりだから、と苛々しながらも、会計の為にレジ前に立たれては接客するしかあるまい。ヤリチン死ね、と呪いながら、レジ台に置かれた商品を見ると俺は目をひん剥いた。こいつ、どんだけやるつもりだよ。何箱もコンドームが置かれていて、いや流石に買い溜めだよな、とビビりながら会計をする。クールで淡白そうな顔をしておきながら絶倫かよ。神はこの男にどんだけの要素詰め込んでやがる、不平等にも程があるだろと0.01のLサイズをお買い上げした男の背中を睨む。
一週間後、例の男が現れた。首元のゆるい服のせいで、赤い痕が見えた瞬間ムカついて内心唾を吐いた。つうかまたコンドームの買い溜めか? と思われる量を買っていった。顔が良くて身長が高くてデカ目でヤリチンな男のせいでこっちは肩身が狭い。天罰でも下れと店を出ていった背中に中指を立てた。
更に一週間後、男はまたコンドームを買いに来た。ありえねえと流石に恐れ慄く。毎日何度も女とやってんのか? いや、日々三人くらい相手にしているのかもしれない。化け物かよ、とまた大量のコンドームを会計していると、その男に絡む輩がいた。
輩は二メートル近くある巨人で、尚且筋肉に覆われた熊のような厳つい男だった。顔にはタトゥーが入っていて、髪の色は浮かれきったピンクだ。やべー! こんな人種と関わりたくないナンバーワンである。そんなやばい男が爽やか系ヤリチンの肩に腕を回している。こいつらヤリチン仲間か、マワしてんのか、やべえだろうが、クソが死ねと無言で呪っていると、会話が聞こえた。無論、レジ前での会話なんてまる聞こえなので、不可抗力である。
「こんなに買ってどうする」
精算前のコンドームの箱の一つをピンク頭の男が摘んでゲラゲラ笑った。笑い方すら怖い。とっとと出ていってほしい。こんなのが世に蔓延ってるのがおかしい。死ね。
「毎回お前のせいで汚れるからだ。節制しろ」
うわコイツラ最低じゃねえのか、とドン引きしながら、コンドーム数箱と安い酒類を精算する。ウニ頭の男はバーコード決済を終えると、ピンク頭の男を押し退けてさっさとレジから離れた。
「お前が撒き散らしているのを見るのがいいというのに」
ピンク頭はウニ頭を追うように歩いていく。最後のセリフについて、俺は少し考えたが、結局分からなかった。同じ国に住んでいたところであんな文化の違うヤリチンの会話なんて理解できるはずもない。ケッと舌打ちして、また無為な時間を耐えることに戻った。
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「あっ、はぁッ、ああああ゛! そこ、……〜〜〜ッ!」
仰向けで大きく足を開く恵は、自分の体に纏わりつく男に縋って、ただただ与えられる感覚に耐えきれず叫んでいる。
腹の奥まで侵入されるのを気持ちいいと思うようになったのは少し前のことだ。それまでは誰かに揺さぶられる事なんてありえないと思っていたが、今は逆にこの男とセックスしない事を考えられないくらいになった。
「無様に揺れるお前の逸物も可愛らしい…なッ!」
ケヒッと笑いながら腰を打ち付ける宿儺の狂暴さには慣れた。むしろ、こうでもされなければ物足りなさを覚える。ガタガタと揺れる体の奥から溢れ出る淫猥な心地よさを知らなかった頃には戻れない。だからといって、自分の体液を撒き散らしていても平気かというと、そんなことはなかった。
今、宿儺に激しく腰を振られているせいでブラブラと揺れる恵の陰茎にはコンドームがつけられている。恵自身が買ってきた0.01のLサイズは宿儺には小さく、決して入らない。宿儺は通販で大量購入しており、恵は実家に送ることもできない為にコンビニで毎回購入しては宿儺の家に持ち込んで、殆ど使い切る。宿儺は恵を焦らしたり、追い詰めたりするのが好きで、恵ばっかり何度も射精したり潮を吹かされたりするのだが、宿儺の部屋が汚れるのが気になって仕方がなかったのだ。特に潮はかなり出してしまうから、シーツがぐしょぐしょになる。だから、セックスするようになって暫く経った頃に、コンドームを購入して使い方をマスターし、つけたままやることにしたのだ。今の所部屋が汚れることはなかったが、宿儺のペースに巻き込まれて何度もセックスする内に、膨らんでいくコンドームの先端を見るだけで興奮するようになった。複数回の使用は出来ないものなのに、宿儺が中断してくれなくて溜まってしまった先端が、恵の乱れようを示している。
「あっあっ、あ゛ぐッ、あ゛あ゛あ゛〜〜〜! い゛ぐッ!」
「っく……!」
宿儺が達しているのをコンドーム越しに感じる。生じゃないのに、宿儺は精液を恵の中に注ぎたいと言わんばかりに腰を限界まで押し付けて、種を撒こうとする。この瞬間が恵は好きだった。腹を壊したり、衛生面で問題なければ生で出してほしいくらいには。宿儺のモノになったのだとも思えるし、宿儺が恵をそれほど犯したいと求めているのが分かる。コンドーム越しにドクドクと脈打つ性器が愛おしい。
「はぁッ、はあッ……んふっ……」
宿儺が抜けていく前に、恵は自分のコンドームを外そうとするが、あまりの気持ちよさに手が震えていてまともに動けない。メスイキ後はふわふわとした幸福感が頭を支配していて、宿儺に愛されること以外できなくなる。
そんな恵に宿儺がにまにましながら口づけ、恵のコンドームを外して捨ててくれた。それなのに、まだヤリ足りないのか、Lサイズのコンドームを装着させられる。
それだけで恵も宿儺に抱きついてキスをする。
結局、体力が尽き果てる頃には、せっかく買ったコンドームは全部使い切ってしまっていた。

