今回宿儺が興味を持ったのは、とあるAV男優のつぶやきが発端だった。
「精液の味は食べ物に左右される……?」
つぶやきによると、コーヒーやアルコール系は苦くなり、フルーツ類はまろやかに、ベジタリアンはサラッとなり、プロテインなどの人工甘味料を使用すると甘くなるという。イギリスでも似たような話があるらしく、理屈としては「様々な体液と精子が結合することで精液ができるため、それらが精液の味を左右する。精管膨大部ではマッシュルームと同じ抗酸化物質が分泌されるため、精液は少しマッシュルームのような味になることもある。また、フルクトース(果糖)が加えられるため甘みを持つこともある。写生をすると更に体液が前立腺と性能から加えられ、味や匂いに影響を与えることもある。アルカリ含有量によってはブリーチ剤のような匂いがすることもある」というのが大前提で、「証明する科学的根拠はないが、味や匂いの強い食べ物は、精液の味や匂いにも影響を与えると思われる」とのことだった。こちらは甘い果物が精液を甘くすることもあると言っているらしい。
「何言ってるのか分かってるか?」
「面白そうだろうが」
好奇心の塊過ぎる。恵は額に手を当てて深く深く溜息を吐く。別に精液の味に興味なんてない。そもそも、恵はいつも宿儺の巨根を全部口に入れられたことがない。あまりのデカさにいつも精一杯になって、ベタベタに汚してしまうのが嫌だった。フェラしている時に宿儺がニヤニヤしているのは見ていて悪くはないが、やりたいと積極的には思っていない。
不服を顕にしても、宿儺はやる気満々だった。そういう男だと知っている。事前に告知しているだけでもかなり優しい。
「どうするつもりだ?」
「あまり食べ物が偏るのも健康を害する。最短一週間、長くて二週間、食事を変える。その間、自慰は構わんがセックスは控えることとする」
「なんでだよ、控える理由なんてあるか」
「その方がより楽しめるからな」
ワクワクしている宿儺の顔を見ると、もうやってやるしかないかなあという気持ちになる。惚れたほうが負けというが、結局どっちも惚れている状態の場合、どうしようもない。一応悩んだが、宿儺が楽しそうにしているのだし、どうせやる羽目になるんだし、と己に言い聞かせて「……もう考えてるんだろ、献立」とだけ返した。
一週間後。互いに二週間も食事が偏ると飽きるので、一週間で試すことになった。恵は野菜担当、宿儺が果物とプロテイン担当になった。つまり、宿儺も恵もお互いの精液を飲み合うことになる。バカだと思いつつ、宿儺のフェラのことを思い出すとちょっと期待を隠せない自分がもっとバカバカしくなった。野菜生活については、味や臭いの濃いものは避け、カフェインも控えろということなのでコーヒーまで禁じられたのには驚きだが、一週間だけならなんとか我慢できた。二週間だったら耐えられなかった。宿儺の方はとことんパイナップルやら桃やらイチゴやら、とにかく果物と、プロテインが中心の生活になった。女子高生とマッチョが混ざったような食生活を見ているだけで面白い。
そして漸く一週間が経ったのだ。気分がかなり高揚していることを認めなければならない。テイスティングはどうでもいいが、漸く宿儺とセックスできる。自慰は構わないと言われたが、自慰で満足できる体ではなくなっているのだ。早く責任をとってもらいたい。
いつものように準備を済ませ、ベッドに二人並ぶ。宿儺は既に全裸だ。恵は流石に下着を履いているが、すぐに部屋の何処かに投げられるだけと分かっていて履くのもどうだろうかとは最近思い始めている。でも家の中を全裸で歩くのは宿儺だけでいい。恵はやっぱり下着だけは履いておきたい。
そんな事を考えている間にも、宿儺の不埒な手が下着を剥ぎ取り、恵の体を愛撫している。今日はお互いにフェラすることが決まっているからか、ペニスには触れずに、胸や尻を撫でられているだけだ。じれったさを感じつつ、キスしながら恵も宿儺に触れる。スキンシップはしていたが、素肌で抱き合うのは一週間ぶりだ。堪え性がない性格ではないのだが、宿儺関係はちょっとバカになってしまう。素直になれと言い続けられていたからだろうか。我慢は体に良くないし、と言い訳しつつ、宿儺と舌を絡める。これほどまで濃厚なキスも一週間ぶり。
「随分とがっついているな。それほどまでに俺に抱かれたかったか」
宿儺が上機嫌に問うてくる。鼻先をガジッと噛んでやって、「悪いかよ」と拗ねれば、きつく抱きしめられる。
「素直なのはいいことだぞ。恩恵に与りやすくなる」
もう一度深いキスを交わしながら、宿儺が後ろに倒れる。自然と恵が宿儺にのしかかる形になる。互いに腰を重ねて、恵がゆっくりとペニスをこすり始めたら、尻を掴まれ窘められた。
「シックスナインだ、方向を変えろ」
言われるままに宿儺の顔に恵のペニスが触れるように体勢を変える。宿儺の立派なペニスは相変わらずでかすぎて口に入り切る気がしない。ただまあ、イかせて精液を飲むのが今夜の主題だ。亀頭を口に含み、じゅぼじゅぼと出し入れしながら、陰茎をこする。時折陰嚢を揉みながら、できる限り喉の奥まで飲み込もうとするが、えずきそうになる。不味いのではなく、ただただでかすぎるからだ。
恵が一生懸命になっている間にも、宿儺は恵のペニスをぱくっとその喉の奥まで咥えこんでいる。恵とてペニスのサイズは平均的のはずなのに、宿儺にかかればとても小さいのではないかとちょっと男の矜持が傷つく。
だが、そんな事に構ってられないくらい宿儺の口が恵のペニスを虐めてくる。付け根部分まで飲み込まれているので、それこそ性交しているような温かくて濡れている感触がひどく気持ちよくて頭がおかしくなる。フェラされているはずなのに、イラマチオをしているような錯覚に陥る。
恵の腰がへこへこと動いて宿儺の口で気持ちよくなっていると、尻を叩かれた。宿儺への奉仕が疎かになっていた。可能な限り咥えこんで頭を上下に動かす。
はしたない水音が互いの口からもペニスからも聞こえている。シックスナインは初めてだが、案外いい。フェラさえ苦しくなければの話だが。宿儺に犯されているのに、宿儺を犯しているような交錯が堪らない。
宿儺の口の動きが激しくなるにつれて、恵は宿儺のペニスに歯を立ててしまうのではないかというくらい感じていた。出る、もうすぐ出てしまう、あ、やば、あ!
「ぅンッ……んぐ、んんんんん!」
腰を震わせて宿儺の口にペニスを押し込むが、宿儺は恵の腰を掴んでもっと飲み込もうとする。気持ちがいい。堪らない。びくびくと震えながら宿儺の口に射精している事実に酔う。尿道までちゅるるっと吸われてはもうだめだ。宿儺のペニスをしゃぶりながらも、恵はもう膝がガクガクして力尽きそうだった。射精だけでこんなにならない。フェラされたからか。それでも宿儺がまだイってないのだからと舌で鈴口を刺激する。早くイってほしい。大きすぎる。苦しいんだよバカ! という気持ちを込めて、ぢゅっと吸い込めば、宿儺の腹筋が少し震えて、恵の口に精液が溢れた。
真っ先に思ったのは「確かに甘い」だった。前に口にしたより、ちょっと甘みがある。だからといって精液の味は精液の味だ。漸く終わってくれた、という気持ちと人間の体ってわかりやすいものだなという謎の納得で、ぺろぺろと鈴口を舐めて綺麗にしてやる。何度も味わいたいとは思わないが、まあ興味深い実験結果ではあった。
「どうだった? 甘かったか」
既に恵の精液を飲み干したらしい宿儺は恵の感想を待っているが、なんと言っても「確かに前よりは甘かった」以上のコメントはない。別に粘液性があるとは言え、水飴みたいな味がしているわけでもなし、語らうほどのものかと言われると疑問だ。
「まずはお前の方から感想聞かせろ」
「野菜中心の生活の結果、確かにお前の精液はサラッとしていたな。甘さに関しては舌がどれだけ知覚できるかによって感想が変わるだろうが、俺は今の味もいいと感じた」
「俺はベジタリアンになるつもりねえからな」
悠仁達のように学生かと疑うほど肉ばっかり食べているような連中ほどではないが、恵だって肉はほしい。肉のない生活なんて御免被る。結局の所、肉と脂がなければ満足できないのだ。
「無論、お前の欲望にまみれた味もいい。野菜はあまりに無欲過ぎる」
「お前の理論、分っかんねえよ……」
「それで? お前の方はどうだ?」
「いつもよりは、ちょい甘かった、とは思うけど……」
「どれ、味見させろ」
宿儺が恵の口を蹂躙するようにキスをする。こいつ正気かよ、自分の精液の味を確かめてやがる、とびっくりしたが、あまりにキスが上手くて恵の方が震えながら宿儺に縋り付いている。舌の上だけでなく、舌の裏側まで犯されている。歯の一本一本を確かめるように舌がなぞる。このまま普通にセックスしてくれたなら、と思ったが、いいところで宿儺が離れてしまった。
「ふむ、俺の精液はこんな味か。お前のより、確かに少し甘くはある」
「……バカ言ってねえで、お前、これからどうするつもりだよ」
さっきのキスでちょっと立ち上がってしまった恵のペニスを見せると、宿儺がゲラゲラ笑って恵を押し倒した。
「無論、お前が泣き叫ぶほど抱く」
「それでいいんだよ」
宿儺の腰に足を絡めて、もう一度深いキスをする。普通にセックスするのが一番気持ちいい。
翌日、フルーツヨーグルトを出された時は、何かを示しているのだろうかと勘ぐったが、とりあえず全部平らげた。
参考文献
・COSMOPOLITAN, 食べもので味や匂いに変化!?健康な精液の特徴を専門家が解説, 2021/04/25, https://www.cosmopolitan.com/jp/love/sex/a36156028/semen-sperm-cum-taste/
・AV男爵しみけん, 2015/01/23, https://twitter.com/avshimiken/status/558634227881611265
・稲葉裕志のblog, 精液に甘い味をつける方法, 2013/8/28, http://blog.livedoor.jp/researchersan5/archives/32150859.html

