目覚めはあなたの口付とともに

 目覚めた時、まだ宿儺は眠っているようだった。いつもオールバックにしている髪が下ろされているのを見ると、宿儺のプライベートに入り込めているのだという実感が湧くし、少々幼く見えるのが可愛くて、恵はこの髪型が密かに好きだった。
 宿儺はまだスヤスヤと寝ている。少しだけ口が開いているのが目に入り、恵はそ〜と顔を近付けて、唇を重ねてしまいたかったのだが、あともう少しというところで、宿儺の舌が恵の唇をぺろと舐めた。
 吃驚して、うひっと声を漏らした恵をからかうように「ケヒ、おはよう」と宿儺が笑って、抱き締められる。額に口付けられながら、羞恥心を堪えて「…………はよ」と恵も返したが、堪ったもんじゃない。
 宿儺はそんな恵を見て笑みを深め、首筋をペロと舐める。
「ひっ、起きてたなら言えよ……」と恵が小さく抗議したところで、宿儺が言うことを聞くはずがない。喉仏や、顎下などもペロペロと肉厚で大きな舌で丁寧に舐められると恵だって息が荒くなる。先程まで恵の背中に回されていた手は、ベッドに縫い付けるように恵の手を握っている。
「ん…っ、あ……はっ」と喘ぎ、感じる度に宿儺の手をきゅっと握るのを、宿儺がふっと笑っているが、恵にしてみれば、そこじゃないのだ。
「おい、口にしろ」
 真っ赤な顔で凄んだら、宿儺が嬉しそうに笑う。ぴちゃぴちゃと舌だけを絡ませて、焦らされたあと、口の中を掻き回されて、ちうちうと吸われたり、ちゅっとリップ音を鳴らして、キスを施される。朝からこんなことをされたら、もっと欲しくなるではないか。
 くそっと内心悪態をつきながら、恵は一生懸命宿儺の動きに振り回され、宿儺が顔を離した時には、目を潤わせ、頬だけでなく耳まで真っ赤にし、長いキスのせいで唾液の漏れた口をまだ物足りないと言わんばかりに少し開けている、扇情的な状態になっていた。
 朝なのに、と分かっていながら、恵はもう一度舌を伸ばして宿儺を誘う。すぐに、恵の舌をずぽずぽと窄めた宿儺の唇でしごかれる。恵はそのあまりの気持ち良さに、宿儺の脚に自らの脚を絡ませた。
 無言のおねだりを宿儺は喜び、結局時間ギリギリいっぱいまでまずっとキスをしていた。

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