仕事が終わって帰宅したら、まず最初にストッキング靴下を脱ぐのは、足の開放感を求めてのことだ。宿儺にとって、服とは窮屈な拘束具であり、外界とやり取りするためのツールの一つでしかなく、できれば常に開放的な気分でいたいのだが、同居人はそれを許してくれない。ノーブラで大学に通っていたことを知った時は「破廉恥」「羞恥心を取り戻せ」「将来そのデカいのが垂れてもいいのか」とプンプン怒って宿儺を百貨店の下着売り場へと連れ出し、きちんとバストサイズを測らせて何着か購入させた。以来、宿儺の下着の購入は同居人であり同性の恋人である伏黒恵の仕事の一つになった。
宿儺にとって、伏黒恵以外の有象無象は存在していようとしていまいと同じなのだが、残念ながら人間社会で生きるにあたって、すべてを無視するわけにはいかない。仕事をするのも服を着るのも、全ては人間社会で伏黒恵と宜しくやるための労働だ。この世に二人だけになれたら最高だろうにと常々宿儺は真剣に思っている。
さて、既に帰宅していた恵は食事を作っている最中だった。先に帰った方が料理を作るというルールではあるが、どれだけ面倒くさがっても社長として働く宿儺と、一会社員として働く恵では帰宅時間が異なる。今日も恵の方が早かったのだろう、自分の手料理を食べさせたい気持ちと、恵の手料理を食べたい気持ちが一瞬だけ鬩ぎ合い、すぐに恵の手料理を食べたい気持ちが勝った。だがまあ、明日は早めに帰って食べさせてやり、恵の表情に乏しい顔が輝くのを見てやろう。
物音で宿儺が帰宅したことを知っていたのか、姿を現しても「おかえり」と素っ気ない出迎えだ。今日は野菜炒めらしい。
食事中はお互いの仕事の愚痴を言い合う。仕事のできない人間の使い方、察しの悪いクライアントのあしらい方などを互いに議論する形でデトックスする。このストレス発散方法は宿儺と恵でしか成立しないので、これからどんなことがあっても二人が別れない理由の一つとなっている。
食休みの後、二人で風呂に入る。恵の腰まであるロングヘアーの手入れは宿儺の役目だ。ヘアサロン並みに拘ったシャンプーとトリートメントを手に取り、恵の頭を洗うのが趣味なのである。ずぼらではないが、身嗜みのこだわりもない恵は枝毛があっても然程気にしていないが、宿儺は恵の髪が少しでも傷んでいるのが嫌なので、そのようになった。
風呂場でキスをしながら恵の陰唇を触り、気分を高める。明日は休みだから羽目を外しても恵は怒らない。それどころか、乱れに乱れて泣き叫んでくれるだろうから今から楽しみだ。
風呂場では少し触るだけにして、髪を乾かしたあと、二人はベッドに縺れ込んだ。同じ家に住んでいるからか、生理の周期が被るのがありがたい。こうしてセックスをするタイミングをのがすことがないのだから。
乳房をラインを強調するようなオープンカップブラとオープンクロッチとただただ肌を飾るだけの前開きのレースの透かしのパジャマを恵に着せる。おまけに鈴付きのニップルクランプまでつけてやった。宿儺は乳首しか隠さない紐のようなブラとTバックだ。恵が外出用のきちんとしたブラばかり買うので、セックスの時は逆にふざけた下着を着用させることにしたのだ。
恵は未だに羞恥心が抜けきらない。腕で晒された乳首を隠そうとするので、その腕を掴んで広げさせ、胸に吸い付く。小振りだが形が良くて感度の良い乳房は宿儺のお気に入りの一つだ。
「あっ、ふぁ……ぅん……ッ」
ぴちゃぴちゃと唾液で濡らしながら乳首を唇で挟んだり、舌で転がしたり、歯で甘噛したりしてやると、すぐに恵はぐずぐずになり、股をもぞもぞさせている。エロい気分になるとびっくりするほど早く膣を濡らすその素直さがとても可愛らしい。その内、外させた腕を離してやると、宿儺の頭を胸に押し付けるように抱きしめた。だから、下から乳房を揉み上げてやり、キツくきゅうっと吸ってやる。
「あ! あっ、あっ…はァ、や、イ、」
「乳だけでイくか? いいぞ、はしたないお前も可愛らしい」
「んん、や、まだ、触ってないのに…ッ――アアッ!」
はう、と恵が喘ぐ。ぽーっとしているので軽くイったのだろう。それもこれも宿儺との日々の成果だ。男を知らず、宿儺に食われてしまった恵は宿儺に翻弄されるばかりで、喘ぎ悶え苦しみながらも快楽に耽る人形のようで可愛らしい。普段の気の強さや、理知的な姿からは考えられないほど、セックスの時は狼狽え、縋り、ただただ宿儺の与える刺激を待つ性の奴隷だ。たまらなく愛おしい。
ちゅっちゅっと唇を吸いながら、オープンクロッチの下着の隠されていない箇所に手を伸ばす。既にずぶ濡れだ。早く早くと宿儺を誘っている。溢れ出たぬめりを指に絡めて、パイパンの陰唇と会陰、肛門までをゆるゆると撫で擦る。
「あっ、あ、ん、すく、すくな……ぁっ」
「ん? どうした?」
大きな陰核をふるふると指で弄ぶと、喘ぎ方が変わった。しかしまだ物足りないだろう。恵が懇願するようにない宿儺を見るが、既にそれについては躾済みだ。やってほしいことがあるなら、指で部位を示し、口で説明しろと何度も言い聞かせた。
恵は今夜もまた開脚し、陰唇を広げて、その奥の膣口を宿儺に見せつける。
「さ、触って……何度もイくくらい……」
「よく言えた。お前はとてもいい子だ」
べろりと唇を舐めてやり、宿儺は腟口に指をかけた。くちゅりとはしたない水音が聞こえる。ぴくりと動く度にニップルクランプについている鈴がチリンチリンと鳴るのさえ、卑猥だ。少しずつ指を進めるだけで、恵はビクビクと体を震えさせる。宿儺に触られているという事実だけで感じているのだ。愛らしいにも程がある。Gスポットを指で撫でると、またイったらしく、一瞬息が止まって、はあと弛緩させた。指を増やし、バラバラに動かせば快楽に溺れて暴れ始める。この可愛い生き物を調教するのがどれほど楽しいか。あれほど気高い女が足を広げて身悶えている姿を愉悦と言わずなんと言おう。
ほくそ笑みながら、宿儺は指を引き抜き、恵と己の陰部をくっつけて、恵の手を握る。期待で息を呑む恵に応え、腰を揺らす。互いに濡れた陰部が擦れ合い、ぐちゅぐちゅと大きく鳴っている。恵の乳につけた鈴も忙しなく鳴っている。これからしばらく、恵は鈴の音を聞くだけでエロい気分になるかもしれないと想像すると愉快だった。
「アッ、アッ、アッ、すくなァ! いい、いい……アッ!」
「ん、はッ、いい、いいぞ、めぐみ……ッ!」
互いの限界が近付いている。ツンと立つ恵の乳房に吸い付きたい気持ちを腰の動きに注ぎ込む。
「や、イく、イっちゃう、アッ、あ、あっ……あああーーッ!」
「んくっ」
同時にイったのか、くてりと二人の体から力が抜ける。恵は放心状態で、ぼうっと天井を眺めながら息を整えている。騒がしく喘ぐとすぐにこうして理性を手放すようになったのはとても素晴らしいことだ。
体の向きを変えて、恵に口付ける。夜はまだまだ始まったばかりだ。今夜はずっと鈴の音と恵の声が部屋に響くことだろう。
