「何してんの二人共、めちゃくちゃダサッ」
いつもハイテンションでふざけている担任に意外と低めのテンションでツッコまれてダメージを食らうなど予想もつかなかったが、確かに今の悠仁と恵は誰が見ても大変ダサい状態だ。補助監督が迎えに来てくれたのを心の底から感謝し、互いの現状から目を背け続けているくらいにはやばい。しかし高専に戻ったとなるとそうもいくまい。この異常事態に対応できるのは家入と五条だけだと分かりきっていた。恵としては非常に屈辱的だったが背に腹は代えられない。
有り体に言うと、今現在、悠仁と恵の胸部は膨らんでいる。俗語でおっぱいと呼んでも良いくらいに。任務で交戦した呪霊の吐いた霧状の呪いの効果のようで、霧にのまれた直後から徐々に膨らみ始めたのだ。慌てて呪霊を祓ったものの、術式の効果が切れず、男二人は胸が膨らんだまま帰還したのである。
交通機関を使用せずに済んでよかった。どこからどう見ても男子高校生にしか見えないのに女性と同じくらい胸が膨らんでいたらおかしい。絶対に二度見されるし、変なのに絡まれるに決まってる。
しかも、恵はかなりの巨乳になってしまったので、シルエットがかなり悪い。服も窮屈だ。グラドルいけそうだな、という悠仁の呟きにはキレた。そういう悠仁もそこそこの大きさである。
「んー、呪力を胸部に集めて破裂させるのが目的か」
アイマスクも外さずじろじろと五条が二人の胸部を観察した。
「小葉に呪力を溜め込ませているようだ。女性化乳房症に近い」
既に家入には同意の上で胸部の触診をされており、恵は羞恥心、疲労、その他諸々、色んな意味で限界だった。肩も痛い。動くたびに乳房が妨げになる。女はこんなのを毎日装着してるのかと思うと尊敬する。
「なんで伏黒と俺で大きさ違うんだろ?」
「呪力量の差じゃない? あとは恵の方がコントロール慣れてる分、集まりやすかったのかも」
しっかし巨乳だなあ、ブラジャー買ったげようか、とゲラゲラ笑う五条を無視したい。他人の術式を読み解ける六眼持ちなのがこの男しかいないから仕方がないとはいえ、かなりの苦痛である。
「それで? 解呪方法は何なんですか。これがぶら下がってからうまく呪力をコントロールできないんですけど」
事実、恵は一匹も式神を呼び出せないでいる。玉犬すら呼び出せない現状があまりにも心許ない。例の呪霊は悠仁が慌てて殴り消したから何とかなったが、間に合わなかったらどうなっていたことか。
「胸部に集まった呪力をコントロールして全身に流すのが一番安全かな。無理に触ると破裂しそう。悠仁の方は荒療治でも宿儺が治してくれるだろうけどさ、恵はそうもいかないからねえ」
はあ、と恵は溜息を吐いた。五条に診てもらう前に聞いた家入の意見と大して変わらなかった。まあこの業界において最も信頼できる目と最も頼りになる手の持ち主がそういうのなら間違いないだろう。
乳談義に入り始めた巨乳好き共を置いて恵は部屋に戻る。乱されている呪力の流れを整えるには集中力が必要だ。他人が居たら気が散る。
シャワーを浴びている間、少しだけ自分の胸囲を見た。これが自分の呪力量。こんな形で測りたくはなかったが、少ないわけではない事を知れたのはよかった。よかったのか? 湧き出た自問に虚しくなる。
それにしても、乳房を持ち上げないと下部に汗疹ができそうではある。というか足元が見えない。自分が男である象徴すら視界に入らないとは思わなかった。とっとと呪力の流れを整えて元の体に戻らなければならないと恵は決意を固めた。
スウェットを着用し、ベッドの上で座禅する。目を瞑り、手を組み、息を整え、体の内側、丹田を中心に偏っている流れをまず確認し、胸に集中した呪力を少しずつ全身に流していく。思っていたより何とかなりそうだったが、問題は体に甘い痺れみたいなのが走ることだ。それが何なのか知らないわけではないが今は無視した。なぜそんな物がと憤りながら徐々にコントロールの精度を上げて、より深く自らの内部に集中し、外部の情報を遮断する。だから、周囲に気を配るのが疎かになった。
「勿体ないことをする」
背後に現れた気配に驚いて、恵はコントロールを誤った。「あっ……!」と甲高い声が漏れたことを恥じながら、後ろを見ようとして、胸を揉まれた。その手首には罪人のような入れ墨がある。
「どれ、俺が飲んでやろう」
二度しか聞いたことはなかったが、恵は一日だってその声を忘れたことはない。
「宿儺っ、なっ、どうして――」
「小僧が間抜けなだけだ。責めるなら碌に学びもせんバカを責めろ」
「おい、やっ……やめろ!」
乳首を服の上から親指と中指で摘まれる。絶妙に痛くないくらいで、人差し指でさわさわと刺激され、ぞわっと背筋に何かが走る。股間に血が集まるのをなんとかして収めたい。
「中々具合が良さそうだな」
時折ツンときつく引っ張られて、浅ましい声が漏れた。なんだこれ、なんで、と混乱している内に、宿儺が前に回ってきて、スウェットを捲し上げ、液体を漏らす乳首を見た。途端に理由も理屈も分からないまま羞恥心が湧き上がる。誰にもこんな姿を見られたくない。なのに宿儺はじろじろと観察して嬉しそうに口角を上げた。
ふと目についた宿儺の胸もかなりのサイズだ。というかマジでデカすぎる。先程見た悠仁とは比べ物にならない。
「どういうことだ……」
「ん? これか? 俺が肉体の主導権を奪ったらこうなった。まあ仕方あるまい。それよりもお前の乳だ」
宿儺が左の乳首に吸い付いた。驚く暇も与えられない内に、舌と歯が乳首を刺激する。じゅるっと吸い上げられたときの感覚が、ダイレクトに腰に響いた。
「ひっ、あっ…やめろっ!」
「やはり美味い。母乳に興味はなかったが、呪力を乳にしたものとは……そういう発想はなかったな」
宿儺は独り言ちて恵の事など気にせず、乳房を揉みながらじゅるじゅると音を立てて吸い上げる。その表情が実に楽しそうなのが頭に来るのに、与えられる刺激で恵は悶絶した。腰が砕けて、到頭射精しても、宿儺の動きは止まらない。びくびくと体を震わせながら、翻弄されていく。
「実に美味だ。お前の呪力は上質らしい。誇れよ、伏黒恵。俺が美味いと認めるのはそうそうない」
谷間をねっとりと舐められ、恵がびくっと反応すると漸く宿儺は恵の状態に気付いたようで、「ああ、悪かったなア」と邪悪に笑った。
「ここが切なかったろう、慰めてやらんとな」
「だめ、だめだ、やめっ、あぁっ…!」
下着ごとずり降ろされて顕になった性器を宿儺が掴む。恵は全力で暴れて拒絶するが、宿儺は手を動かしながら、もう片方の乳房に吸い付く。よく見れば先程よりも胸が縮んでいる。乳房に溜まっていた呪力をこの男は吸い出しているらしい。何の為に、と生じた疑問は一瞬で快楽の波に飲み込まれて消えた。
舌でこりこりと弄ばれたかと思ったら、歯がきゅっと噛み付いてくる。その後唇と舌でじゅっと乳と化した呪力を吸い上げられる。乳首の感覚だけでなく、呪力を吸い上げられた時の感覚があまりにも気持ちがいい。
「あ、んん、やめっ……やめろ……! てめえ……!」
「抗ったところで一度燃えた炎はそう簡単に消えん。寧ろ焼かれてみろ。燃え盛る中でしか見えんものもある」
ケヒッと宿儺が笑い、恵の唇を奪った。絡んでくる舌から感じる味がやたらと甘い。恐らくこれは先程まで宿儺が吸っていた恵の乳だ。甘いだけでなく、癖になる味がする。その味を求めて宿儺の舌に絡み、口の中を弄る。呼吸なんてしてる場合じゃない、この味は何なんだ。
お互いの唾液で喉まで濡れた頃、漸く顔を離した。宿儺の4つの瞳が恵を見ている。
「自分の呪力は美味いか? 俺のはどうだと思う?」
宿儺が制服を脱いで上半身を顕にする。人のものとは思えない程大きな乳房が現れた。ただ、今の恵にはその乳房の中にある乳が気になって仕方がない。
いや待て、冷静になれ、何だこの状況。待ってくれ。
「一体何なんだ、何がしたいんだ、どういうことだこれは」
矢継ぎ早に質問すると、宿儺がふんと鼻を鳴らした。
「お前は溺れることを知らんな。まあいい、お前らが祓った呪霊の術式は五条悟の見立て通り乳房に呪力を集めて破裂させ、死に至らしめるものだ。普通なら一瞬でなされることだろうが、今回は霧状だったがゆえに効果が出るまで時間がかかったのだろう」
ぴんと宿儺が恵の乳首を弾いた。んっと甘い声を出した自分が憎い。
「その副産物が乳だ。呪力を凝縮させるための媒介と思っていい。くだらん術式だが、この副産物だけは悪くない」
宿儺がまだ膨らんだままの恵の乳房を揉む。じわぁっと乳首から乳が滲む。恥ずかしくて死にたい。
「俺は食道楽でな……是非味わいたかった」
下品な音を立てて、宿儺がまた吸い付く。呪力が抜けていくことで、快感が痺れとして体に広がる。やばいと思ってるのに、体が思うように動かない。
「礼としてお前にも俺の呪力を味わわせてやる」
口付けられた後、体勢を変えられて、添い寝するように横になった宿儺が横たわる恵の顔に乳房を押し付けた。宿儺の乳首からも乳が溢れている。先程の味を思い出して、恵は正常な判断を失いそうになる。呪力が枯渇したとしても他人から呪力を与えられたいなんて思ったことはない。大体は寝て回復するしかないのに、喉の乾きを潤したがるように、体が呪力を求めている。
ちろりと差し出した舌で舐め始め、次第にしゃぶりつき、宿儺にされたように唇と舌で宿儺の乳首を吸う。んくっんくっと夢中になって恵が飲んでいるのを、宿儺は後頭部を撫でながら「いい子だ」と褒めた。時折揉むと、宿儺も堪えるような声を漏らす。それがあまりにも扇情的な色っぽい声で、恵は夢中になって揉みながら吸う。
宿儺の不埒な手が恵の陰茎を握り、上下に扱き始める。その手の内に現れたらしい口から舌を出してくるので、感覚がおかしくなりそうだった。やがて、手の口が丸々恵の陰茎を飲み込み、生暖かくぬるぬるとした口内と舌で恵を何度も絶頂に至らせた。精液だけでなく、潮まで漏らしても、宿儺は恵の陰茎を決して離さない。度が過ぎる快楽に頭がついていかない。しかも、疲れがなかなか来なくて、寧ろ宿儺の乳が恵の体を漲らせているように思える。疲労によって意識を失いたくても、まだまだ体の限界が来ない。
理性が溶けて宿儺の呪力に酔っている間に、体勢を変えられ、宿儺に覆いかぶさるようになっている。重力に従って垂れる乳房が非常に魅惑的だった。両方の乳房を思い切り手で掴むと宿儺が褒める。
「よいよい、欲望には素直になれ」
頭を優しく撫でられたら、恍惚するしかない。耳を柔らかく摘まれて、「っはぁ……」と声を漏らしてしまう。首筋の血管を辿るように手から現れた舌が舐める。全てが現実的ではないというのに、恵の頭の中はからっぽで、目の前のことを処理できない。ただただ気持ちいい。幸福感さえ感じる。
だから、宿儺が恵の肛門に触れたことも気付けなかった。何かがおかしいと気付いた頃には宿儺の指が二本も入っていた。
「あっ、きた、きたないから、んっ、抜けって…! あっ!」
「構わん、それより自分の心に従え」
宿儺の言葉にどくんと胸が騒ぐ。自分の心とは。今何を求めているのか。自然と恵の腰が揺れる。宿儺の節くれ立った太い指が恵の中を刺激する。その中である一点を掠めると、「あああっ!」と小さく叫んで恵は宿儺の腹筋に精液をぶちまけた。
「お前のようなやつは箍を外すと予想もつかん事をする」
宿儺はげらげら笑いながら、恵が絶頂に至った箇所を執拗に責める。恵は先程の解放感と快楽に頭がやられて、宿儺の指が増えたことにも気付けない。首を反らして喉をさらけ出すと宿儺が甘く噛み付いてきた。与えられる刺激全てにいちいち反応して、陰茎が震えては射精する。それでも快楽の波は止まらない。頭がおかしくなる。
暴れまわっていた指が抜け、別の物が恵の中に入ってきた。太くて熱いものが、恵を支配するように犯している。それがあまりにも幸せで、泣きたくなるほど嬉しくて、必死にそれを飲み込む。ふと見やると宿儺がとても満足そうに笑っていた。
「とんだ淫乱だな。そんなに男の摩羅がうまいか?」
「えっ……?」
慌てて下半身に意識をやると熱いくらいの宿儺の陰茎が尻にあるのを感じた。あまりにも恥ずかしくて逃げ出したいのに、体は明らかに宿儺の無体を喜んでいる。
「小僧のものなど大したことはないはずだが、お前が随分気持ちよさそうなのを見ると悪くはないらしい。だからといって初めてのくせによく善がる」
嬉しい誤算だと宿儺は恵の目元を親指の腹で撫でる。そのまま親指を下にずらし、恵の口に含ませた。戸惑いがちにちゅぱちゅぱと舐めると、また頭を撫でてくれた。
「伏黒恵、お前の腹には今俺の摩羅が全て入りきっている。分かるか?」
宿儺の手のひらが臍の辺りを弄る。それにさえ、「あっ…」と声を漏らせば、宿儺はかなり上機嫌になった。
「感じろ、求めろ、本能に従え、欲望を解放しろ」
宿儺の言葉の一つ一つが恵の中に染み渡る。与えられたものを享受し、指先までが甘い痺れに酔っている。まだ膨らんでいる宿儺の乳房を掴んで、舌でねっとりと乳首を舐める。
「美味いか」
「ん……」
舌に染み渡る甘くて濃厚な味は宿儺の呪力の質そのものが反映されているのだろう。この男は極上だ。千年もの間この世にあり続けた呪いが粗悪な筈がない。それを口にしているのは、たった一人自分だけだと思うと茹だった頭が妙な優越感を覚えて、更にねだるように吸い付く。その間も、腰が前後に揺れて前立腺を刺激する。腰の性的快感と、口から摂取する甘い毒が伏黒恵という形を崩していくようだった。
「腰の振り方も知らんのか。男を惑わすなら、こうしろ」
宿儺の手が恵の腰を掴み、ぎりぎりまで陰茎を抜くと、ずんっと勢いよく落とした。あまりのことに目がチカチカする。まるで暴れ馬のように激しく動かされて、ひたすら泣きじゃくることしかできない。まだ呪力が残っている乳房が揺れて痛い。
「すくな、すくなぁっ……あっ!やぁ、ンンッ!」
「よしよし、お前の言いたいことは分かっている」
宿儺が恵の乳首に噛み付いて、体の奥から吸い上げる。乳首の刺激、胸の中から液体が出ていく感覚、それと同時に下半身に響く甘い刺激に身を委ねると、頭がふわふわしてくる。きゅうきゅうと吸われた乳首は腫れぼったくなってしまって、何をされても感じてしまう。
二回ほど射精して荒くなった息を整えながら、宿儺に倒れ込むと頭を撫でてくれた。時折髪の流れに逆らうように掻き上げられるのが気持ちいい。宿儺の乳房は恵が吸い続けたためか、元の大きさに戻っている。恵の方はと言えば、何故か胸がまた膨らんでいる。宿儺の呪力を取り込んだからかもしれない。
「へばるなよ、俺はまだ一度も出していない」
耳元で囁かれることにすら体が震える。宿儺は恵の骨盤をしっかり掴むと、先程以上に腰を激しく揺さぶり始めた。余りに暴力的な動きに内臓が圧迫されてるのに、それすら気持ちよくてもっともっとと泣きながらねだる。宿儺の動きに合わせてブラブラと揺れる陰茎からは情けなく勢いのない射精が続くし、大きな乳房が痛いくらい揺れながら乳を垂らしている。恥ずかしい、恥ずかしいけど、それよりも腰から与えられる快楽に全てを委ねてしまいたい。こんな感覚は初めてで、夢中にならない方がおかしい。
腰の動きの一回一回が恵の奥を抉るようになる。悲鳴のような嬌声をあげながら、恵はそろそろ来るであろう宿儺の絶頂を予感して期待に恐怖する。宿儺の濃い呪力の塊が今から恵を孕ませるように染み渡る。だめだ、そんなことをされたら男として生きていけなくなると頭の隅で恐れているのに、この快楽の果てを与えられるという喜びが勝る。
「すくな、すくなあっ!」
「たっぷり注いでやるから全て取り込め」
ガツンッと宿儺の陰茎が奥の奥まで刺さったと思ったら、奥に熱いものがじわあっと広がる。腰を揺らしてそれを更に奥に飲み込ませる。すごい、気持ちがいい。ふわふわする。幸せすぎて泣きそうだ。何度か確実に奥を犯すために突かれたのもよかった。全ての精液が恵の中に注ぎ込まれた。
はあぁっと熱い溜息をつくと、宿儺が恵の腰を離さないまま口付けてくれる。太い舌が恵の力のない舌を翻弄して、口内をじっくり丁寧に征服していく。嬉しい。もっとと舌を絡ませてねだれば褒めるように頭を撫でられた。凄く嬉しい。
口を離すと宿儺は恵の膨らんだままの乳房をまた吸い上げる。その気持ちよさにまだ突き刺さったままの宿儺の陰茎を締め付けてしまって、胸と腰の刺激でまた潮を吹いた。恵も宿儺も乳や精液やその他の液体でどろどろに汚いのに、その熱い体に抱き締められたくて恵は自ら腕を宿儺の背中に回して抱きつき、力強く激しい心音にときめく。
恵の胸も元の大きさに戻ったのに、宿儺は恵から離れないまま抜かずに三発も恵の奥を犯した。騎乗位から正常位へ、その後膝立ちのバックで犯され、バックでは手の口で恵の陰茎を散々舌と歯でめちゃくちゃにされてしまい、男の尊厳を完全に失った。
「存外お前は可愛いやつだな」
くくくと宿儺は力尽きている恵の額に口付け、そのまま唇同士を重ねながら、不埒な手付きで腹の中心、臍を撫でる。その奥には宿儺の精液がたぷたぷと注ぎ込まれている。臍をぐりぐりと舌と指で刺激されてまた気持ちよくなっていると、臍の辺りにちりっと焼けたような感覚がした。慌てて宿儺を見ても「印をつけただけだ」と宥められただけだった。
「しるし……?」
「お前が誰のものかを示さねばならんだろう」
「えっ?」
身を起こして臍を見ようとしたら、陰茎と陰嚢にも同じ痛みが走る。今度こそ確認したら、宿儺の額と同じ文様が恵の臍を中心に刻み込まれているし、尿道口には黒い円が、陰茎には縛るような黒い線が何本か一周している。陰嚢にも同じように黒い円が刻まれているに違いない。
「なんだよ、これ……!」
「所有物に印をつけるのは主人の権利だ」
嬉しかろう、と蟀谷に唇を寄せられて、あっと声が漏れる。どう考えても抵抗しなければならないはずなのに、体が宿儺のすべてを求め、肯定し、喜んでいる。こんなに胸が震えるほど、泣きたくなるほど嬉しく感じてるのはおかしい。理性と本能が乖離して気持ち悪いのに、宿儺の言葉で本能の喜びが勝つ。
「お前が快楽に溺れたい時、腹に手を当てて俺の名を呼べ。今宵のように抱いてやる」
その言葉で腹の奥がきゅんっと反応した。
生まれて初めて溺れるような快楽を体験した。
幸福は取り戻せない過去にしかないと常に諦めていた。二度と目を覚まさないかもしれない姉、死刑が決まっている善人。幸せはささやかで儚いのだと失望していたのに、あの怒濤の幸福感を知ってしまった今、もう戻れない。死を撒き散らす呪いの王にそんなものを与えられた絶望とどう向き合えばいいのか。宿儺の印がある以上、恵は逃れられない。
「そんな顔をするな、明日の夜まで抱き殺したくなる」
宿儺は恵に軽く口づけて、部屋を出た。残された恵は呆然と汚れた身体を見下ろすことしかできなかった。

