結局十年かけて吸われ続けました。

 そのタイトルを見たのは、本当に偶然だった。普段なら絶対選ばない妹ものなのはタイトルですぐに分かったのだが、嫌悪感よりも「なんだコレ」が勝ってしまい、いつの間にか指がタイトルをタップしていた。
【妹のおっぱいを吸い続けて、10年になりました。 】
 実の兄妹である二人が奇妙な性的関係になったという設定らしい。近親相姦ネタと親の再婚系姉妹ネタは恵の地雷だが、あまりにも意味が分からなくて、サンプル動画を再生してしまった。
 日常的には普通の兄妹として過ごすのに、夜には妹の乳房を吸う兄の姿が映し出される。理解ができない。親が同居してるのにヤるというのが大胆な設定だ。というか、恵が知らないだけで姉・妹系では普通なのか。
『私達、異常だったんだね』
 いや、そうだろう、と恵はサンプル動画にツッコんだ。
 女優自体は可愛いし、プレイはタイトル通り乳房を吸うものが多かったし、まあ、タイトルから想像しうる範囲で裏切りはなかったし、パッケージとの差もなかった。
 しかし、あまりにもよく分からない。しかもシリーズ化してる。AV動画でしっとりした奇妙なストーリーを求める層がいることにびっくりしながら、恵はAV動画サイトを表示していたスマホからイヤホンを外して、就寝しようとしたが、「お前、そんなのに興味があったのか?」というここにいるはずのない同性の恋人の声が聞こえて、びっくりして飛び上がった。
「なんっ……は? お前、帰ってくるの明日じゃなかったのか?」
 宿儺は明日までの長期任務についていたはずだ。
 通常、宿儺のような特級術師は現場についた途端、呪霊を祓ってしまうことが多い。スピード解決は人手不足の術師界隈にとって大切なことであるから、特級の有能さは大いな助けだったし、特に束縛のない学生特級術師である乙骨と宿儺は重宝がられた。
 それでも、何日もかけて手順を踏まないと現れない呪いなどもあるので、今回は体力の無尽蔵な宿儺が向かったのだと聞いていた。
 その間、ほぼ毎日行われている行為が途切れるので、宿儺と付き合う前にお世話になっていた動画サイトで適当にザッピングして性的欲求を満たして寝ようと思っていたのだ。まあ、今夜はあまりにも奇妙な設定のAVを見てそんなのも吹き飛んでいたのだが、宿儺の登場に更に吹っ飛んだ。
「くだらんことに長々付き合ってられるか」
 宿儺は溜息をつくと服を脱ぎ、全裸になってベッドに入ってきた。恐らく、手順を無理矢理省略して呪霊を引きずり出したのだろう。呪術の造詣が深い宿儺は、基本を全て押さえているからこその無茶ができる。恵とて術師として育てられたから、基本は頭で理解しているが、宿儺は魂から呪術というものを理解し、操る。レベルが全然違うのだ。だから、誰も宿儺の真似は出来ない。呪術を極めるために生まれたような存在で、実際、俗世には呪術師としての関心しか寄せていない。
 この世全ての物はただの消費物でしかないように振る舞う男が唯一対等に扱うのが恵だった。恵には価値があると初手合わせの時に断言され、交流を深めていくうちに恋人関係になって、周りの心配をよそに二人は随分順調に交際を続けていたし、ヤることはヤッている。まだ十五歳、盛りたい年だ。興味が赴くままに二人であれこれしてきたが、互いのそういうことの趣味についてはまだはっきりとは言ったことがなかった。
 それを今回誤解されそうで、慌てて恵は弁明した。絶対に姉・妹系ネタが好きとは思われたくない。それだけは回避せねばならない。
「これだけどな、変なタイトルだから気になっただけで、いつもは姉妹系とか近親相姦系は見ねえよ」
「普段は何を見るんだ」
「巨乳」
 しかもやたらと変なシチュエーションや設定だとそっちが気になるので、目的を果たせないため、マジで普通のストーリーのないものを見ることが多い。好きというより、地雷やら目的を果たせそうにないものを除外した結果だ。
「では乳首を十年吸われることに興味はないと?」
「あるわけねえだろ」
 だが、宿儺は恵のTシャツを捲りあげて、恵の乳首に吸い付きながら、下着に手を突っ込み、陰茎を扱き始めた。
「バカッ、興味ねえって…あっ、」
「お前の乳を十年吸ったらどうなるかは気になるな。乳首だけでイケるようになるのか? 十年なくとも達成できそうだが」
 宿儺のテクニックを考えれば、一年足らずで達成されそうではある。一年後の自分がどんな体になっているのかを想像してしまい、それが陰茎に余計血を集めた。
「期待したのか?」
 舌打ちで返事すれば、宿儺はゲラゲラ笑って、鈴口にぐりっと刺激を与えた。びくっと震えて射精してしまうと、宿儺の汚れた手が恵の目の前に差し出される。すべてを舐め取り、観念して服を全部脱ぎ、腰を持ち上げたが、宿儺は「今日は乳首だけだ」と宣言した。
「は? 挿れたくないのか」
「お前が乳首だけでイケるようになったら挿れてやる」
 こういうからかい方をされるのが嫌いだと知ってるくせに、と恵が睨んでも、どこ吹く風だ。宿儺は一度口にした言葉を撤回することはない。だから、これも本気なのだ。ていうことは今夜のうちに乳首だけでイケるようにならないといけないのか?
 ムカつきながら女のようには盛り上がらない大胸筋を寄せてあげて、宿儺を誘うと、嬉しそうに乳首に吸い付いてきた。左の乳首を唇できゅっと吸いつつ、舌で転がされ、右の乳首は親指と中指で抓みながら人差し指で刺激を与えられる。
 これらだけでイケるようにならないといけないが、こういう場合はリラックスしないと逆効果だ。
 落ち着け、リラックスして、宿儺の与える刺激だけを感じて、全てを委ねろ。
 暫くすれば時折揉まれたり、甘噛されることに体がビクビクと反応するようになってきた。呪力まで甘く流されて、敏感にさせられている。乳首を取り巻く宿儺の呪力が卑猥に思えて、恵は段々高められていく。
「あっ! あっ、やっ、舐め、あっあっ、」
「そろそろいけそうだな。随分と早い」
 宿儺がぢゅっと強く乳首を吸い上げると、恵の腰がブルブル震えて、射精した。解放感はあるが、求めている圧迫感や重量感がないことが寂しくて、尻穴がひくひくしているのが分かる。
「そんなに挿れてほしいのか」
「お前が俺を変えたんだろうが」
 責任取って早く挿れろと脚を持ち上げて、尻穴を指で拡げる。呪力で腸壁を保護するのも慣れているから、ローションなしでも平気だ。
 宿儺は恵の唇に軽くキスをするとまだ乾いている恵の尻穴に熱り立っていた陰茎を挿れる。一定のリズムで始まったピストンはどんどん早くなっていく。前立腺を生で刺激されて、恵も大きな声を出しながら快楽に耽る。
 宿儺が射精した時には、恵は二回メスイキしてしまっていたので、息も絶え絶えだったが、自分の尻が宿儺の精液で濡れているのを感じると、まだまだ足りないと腹の奥が疼いた。
 宿儺は抜かずに、恵を抱き上げると、対面座位で恵の体を上下に揺さぶり始めた。当たる角度が変わって、悲鳴のような嬌声を漏らす恵の乳首を宿儺がまた吸い始める。
「吸う…なっ、あッ、イクッ、〜〜〜アアァッ!」
 ぎゅっと宿儺の陰茎を尻で締め上げながら、宿儺の頭に腕でしがみつく。より密接になりながら、恵は今夜の交わりの間、何回乳首でイかされることになるんだろうと体を震わせた。

 結局、抜かず十回、宿儺の精液が泡立つくらいに激しい動きをしたが、乳首で恵が何度も達して最後には指一本も動かせなくなったから、宿儺が途中でやめただけだった。
「十年後は息を吹きかけただけでイキ狂いそうだな」
 宿儺がワクワクしながら言うので、恵は今後、どんなに気になるタイトルでも変なのは絶対見ないぞと心に決めた。