「結婚式だと……?!」
リムルが恐れ慄いていると、リグルドは恐縮して頷いた。文官達との会議でこんなにひっくり返りそうになるとは思いもよらなかったが、リグルド達もそんなリムルに驚いている。今現在、リグルド達から議題があると言われて文官達だけが集まり、会議中なのだが、その議題がまさかのもので、リムルは頭がくらくらした。
「形式は大事だとべスター殿が提案されたのです」
「いや、まあ、確かに? 体裁は整えるべきだよね、うん、分かるよ……分かるけど……」
めんどくさっという言葉を飲み込んで、リムルは実際に結婚式をするとして、どれほどの費用が掛かるかをミョルマイルに計算させた。魔王かつ国主でありジュラの大森林の盟主であるリムルと、そんなリムルの配下として軍事を司るベニマルの結婚式なのだから、三上悟だった頃に参列したようなホテルでの挙式程度で収まらないのは、智慧之王に頼らずとも直感できた。そして見積りの結果を聞いて死にそうになったが、やる方がいいのは分かっている。あとはリムルの心次第、となったので、結局めんどくさっという気持ちを押し殺して、リムルはベニマルとの結婚式を挙げることにしたのだった。
ベニマルとリムルの関係は、現在、主従というだけではないが、社会的契約を交わしたわけではないので、(実際はどうであれ)ベニマルはリムルの愛人であり、正式な伴侶ではない。基本的な法の整備すらままならない状況なので放置していた問題だが、子供が出来た以上、何かしらの決着をつけなければならないのだ。その為、法整備と共に結婚式という儀式をもって、ベニマルを正式な伴侶として認めさせる必要がある。これはただの小鬼族だったリグルドにはあまり理解できていないようだが、人間社会はこのような手続きがかなり大事なのである。べスターは亜人たるドワーフで、一国家の大臣まで勤め上げた男だから、その辺りについての理解は深い。
また、権利に関する規定が曖昧で、どこからどこまでがその権利の範囲なのか判明しないという事は、責任もまた同様に誤魔化されてしまうということである。無論、明文化されない社会的規範というものもあるが、それだけでは多数の存在の営みから成る社会として成り立たないし、外交関係にも影響が及ぼすかもしれない。隙のない法律なんて却って社会を混乱させるだけだが、ある程度は決めなければならない。特に、既に多大な権益を得ているリムルやベニマルには厳格な公正さを求めるべきだろう。つまり、ベニマルの伴侶としての権限と侍大将としての権限を明確にし、区別すべきなのだ。ベニマルは公私混同しないので、今の所暴挙に出ていないが、だからといって線引きをしなくていいわけではない。この世界での王の伴侶は名誉ある地位というだけで、ややこしい利害関係について計算する必要がないことにリムルは安堵した。立法担当のレグルドには他国の法律を参考にしつつ、魔物連邦国の盟主たるリムルの伴侶には名誉のみが与えられ、政治的権限及びその他の権利を与えないことを明記するよう指示するだけで済んだ。これで、ベニマルは伴侶として何かを成すことはなく、その行動全ては侍大将として責任を負うことになる。まあ、何かあればどうせ色んな隙を突かれてあれやこれやと言われるに違いなかったが、これを明記しておくだけでも意味があるのだ。
問題は結婚式の方である。魔物連邦国の住民と同じようにすればいいじゃない、とリムルは提案したが却下された。リムルは歴史ある王族という訳ではなく、ただのスライムだが、ジュラの大森林一帯を治める国主であり、八芒星の一角たる魔王でもある。周辺諸国に舐められるような式は考えられない、立派な式を挙げるべきだとべスターは主張したし、カイジンやミョルマイルも同意見だった。要するに、国王の婚儀にどれだけの金を費やしたかだけでも、その国の財力と権威が分かるし、様々な人物を招待することで人脈の広さを周知させる事ができる。魔物連邦国は成立して五年も経たないし、いくらテスタロッサの恐ろし過ぎる程の交渉力と折衝で対外関係を良好に保っていても、その実、下に見られていないとは限らない。成金と言われようとも、貧乏人と侮られるよりよっぽどいいから、金はかけるべきだろうとのことだ。加えて、国のトップの祝い事は国民にとってもお祭り騒ぎなのだ。ミョルマイルは実際、ブルムンド国王の結婚式でどれほど皆が浮かれていたか、ついでに大儲けできたかを語ってくれた。幸いにして、魔物連邦国の観光国としての業績は頗る良いので、蓄えは十分にあるし、ベニマルも金を全然使わないため費用が嵩んでも何とかなる。(リムルもすっからかんにはしてないが、挙式の準備金としては心許ない)
式全体の総監督は貴族出身のべスターにお願いし、その補佐としてミョルマイルをつけた。美術監督はミルドに頼み、その下で衣装担当のシュナとガルム、小道具担当のドルドを配置することで、いつもの、そして最強の布陣で式に臨むことができる。また、スケジューリングや関係者への案内、スタッフ等の人員管理についてはリグルに頼むことにした。リグルドは行政担当なので常から多忙であるため、息子のリグルに任せたかったのと、今後のことを考えて経験を積むためだ。リグルは嬉しそうに任せてくださいと胸を張って、引き受けてくれた。
○
ベニマルに結婚式するからと、指輪で送信したらすぐさま説明を求める返信が来たが、詳細を指輪で送信するのが面倒なので、今夜会おうということになった。場所はベニマルの家だ。今夜も料理を振る舞ってくれるそうなので、ウキウキしていたらシオンの機嫌を損ねたらしく、怪力で抱きしめられるという事故があった。
そんな事故にもめげずに仕事をしていたというのに、シュナ達が提案してきた結婚式でのリムルの衣装デザインにリムルは絶叫した。
「ぜってードレスなんか着ねえから! 無理!」
「しかし、リムル様、兄がドレスを着るわけにもいかないでしょう?」
有無を言わさぬ笑顔で迫ってくるシュナが怖くて仕方がない。ガルムはシュナの味方らしく、色んなドレスのデザインを提案してくる。ふわふわのとかレースとか、凄いのは分かった。物凄く凝っているのは分かった。気が遠くなるような工程を経て完成するのだけは素人のリムルでもわかった。但し、それはシュナみたいな美少女が着るもので、リムルの着るものではない。見た目がシズをベースにしているから勘違いされがちだが、中身はおっさんなのだ。
「いいじゃん、二人共タキシードで! かっこいいと思うよ!」
「しかし、それでは華やかさが足りませんわ。やはり、リムル様の美しさをより一層輝かせるためにもドレスが良いと思います」
「ボリュームの問題なら、ほら、マントとか! 物凄く長くて引きずるくらいのものでも作れば?! それなら華やかさとかボリュームとかクリアするだろ?!」
長過ぎて動きにくいかもしれないが、ドレスを着させられるよりずっといい。シュナは必死にドレスを否定するリムルに、聞き分けのない子供をどのようにして説得しようか悩んでいる親のように困った顔をしていたが、困っているのはリムルである。いくら夜はベニマルにいいようにされているとはいえ、リムルの心は男、しかも男気にあふれたハードボイルドな男(自称)なのだ。
「そうですか……。では、花嫁のヴェールに見立てて、純白のマントを縫います。また、マントに合わせてタキシードもフリルやレースを使用しますね。是非楽しみにしていて下さいませ」
「あ、そう……」
結局女路線は変えてくれなかったが、男性用フリルシャツならまだ前の世界でも見たことがあるので許容範囲である。男らしくはないかもしれないと諦めたものの、その分シュナもリムルにドレスを着せる事について諦めてくれたのだから、お互い様だ。いや、そんな事はないけど、そういう事にしておく。これが世を渡るときのポイントなのだ。あんまり白黒はっきりさせすぎると関係がギクシャクするから、多少は目をつぶろう。できる社会人であるリムルはそう決めた。
○
ベニマルの家に行けば、既に調理を始めていたらしく、香ばしい肉の匂いがした。恐らく以前食べた時よりも上達しているのだろう。容姿も、育ちも、性格も、何もかもがいい上に、仕事が出来て、仲間思いで、腕っぷしも強くて、更には料理もできる。出来杉君にもほどがある。
そんなベニマルがリムルにべた惚れしている事実に驚いてしまう。
何がよくて無性のスライムを好きになったんだろう。えっちな事をしたからだろうか。いやまあ、リムルもあんな事さえしていなければベニマルの告白を受け入れることはなかったと思う。
しかし気になる。そんなスケベ心だけでここまで出来るものだろうか。
生前、誰ともうまく行かなくて、結婚なんて夢のまた夢、ありえないとさえ諦め、仕事一筋、独身貴族を謳歌していたから、実際に結婚できて、挙式を控えているという現実が奇妙で仕方がない。
伴侶だなんだと言ってきたのに、これからの人生をベニマルと共に歩むことを国民皆の前で誓い合うのだと思うと、改めて伴侶というのは何なんだろうと不安になる。
生活を共にするのは多分なんとかなる。心はどうなんだろう。離れていくことなんてないと自信を持てるだろうか。変わることのない愛がいつまでも二人を幸せにしてくれるのか。ベニマルのリムルに対する恋心や独占欲はいつまでもあってくれるのか。魔物達は自分の本能や心情に素直で自信に満ちている。ベニマルも上位の存在となったとはいえ、心根は大鬼族だった時から変わりはしない。だから、心配するのが間違っているような気がするが、体はスライムで、随分と魔物として馴染んでいる今でも、リムルの根っこは人間の時と変わらない。即ち、リムルこそ魔物らしい素直さや何もかもに対する絶対的な自信を持ち合わせない。
仕事のことなら大丈夫と太鼓判を押せるのに、何故、ベニマルとの関係には安泰を抱けないのか。
多分、未経験だからだ。未知で、無知で、どうなるのだろうと不安になった時に指針にできるような経験は何もない。仕事なら何とかなるし、何とかするためのビジョンがすぐに出てくるのに、こんなことに関しては全然分からなくて、途方に暮れる。
こういう時は、ベニマルにすべての不安を打ち明けて、受け止めてもらうしかない。黙っていても解決するどころか、膨れ上がるだけで、何もいいことがないはずだ。
これがマリッジブルーというものなのかもしれない、とリムルは感慨深くなった。
ベニマルの料理が並べられると、リムルは悩んでいた数分前の事を忘れかけるくらい喜んだ。牛鹿のスペアリブはかなり美味そうだったし、ひよこ豆のサラダの盛り付けすら美しい。ベニマルはリムルの白米好きを知っているので、きちんと真っ白な炊きたてご飯も用意されていた。オニオンスープも香りがいい。リムルならここまで作る気が起きない。シュナの指導のもと、修行を積んでいるとはいえ、これだけの器用さを発揮されると吃驚した。
「お前、凄いな! めちゃくちゃ美味そう」
「リムル様のために作ったからな、美味くないはずがないだろ」
へへっと照れ臭そうに笑うのがまた可愛げがあって、思わず背伸びしてキスをしてしまった。ベニマルは嬉しそうにリムルを抱きしめて、それから食べ始めたのだが、見た目と香り通り、大変美味だった。
ベニマルは美味い美味いと喜ぶリムルを見て、かなり自信をつけたらしい。次回も美味い飯を作るから楽しみにしてて欲しいと宣言された。
食事を終え、ベニマルの家の居間にある二人がけの座椅子ソファーに向かい合って座る。因みに座椅子ソファーはベニマルと関係を持ち始めた頃にリムルが職人達にわがままを言って作ってもらったものだ。今でも作ってよかったと思う。因みにベッドに変形することも可能だ。いつもなら、このまま致してしまうことも多いが、今日は話すべきことが沢山ある。
「結婚式の件だが、ベニマルは今の所、俺の伴侶だという公的な承認を得ていないからな、これをもって、お前が俺の唯一無二の伴侶だって公式発表することになる」
「はい」
「んで、式の内容についてはべスターに任せている。あいつなら、国賓が来るような式であっても見劣りしないようにしてくれるだろうしな。俺はそういうこと疎いから丸投げした。あと、リグルをべスターの補助として人員管理を任せた。警備隊とリグルドの仕事以外の経験積んでた方がこれから役に立つだろうしさ」
「なるほど、まあリグルなら大丈夫ですよ。あいつなら、しっかりとリムル様から任された役目を果たします」
「衣装とか美術関係はシュナと職人三人に任せた。あと、お前の服装はタキシードだ」
「リムル様の衣装は? ドレスですか?」
「アホ! 俺もタキシードだ! ドレスを着るつもりは一切ない」
「そうですか……」
兄妹揃って残念そうな顔が一緒で、リムルは笑えばいいのか、それとも兄妹揃ってリムルを女装させようとすることに怒ればいいのか迷った。
「招待するゲストについては、ミョルマイルがリストアップしてくれている。ま、俺とお前の知り合いって共通しているから漏らすこともないだろう。何かあればミョルマイルに言っておけば対応してくれるぞ」
「分かりました」
ベニマルはこの程度の説明で大体納得がいったらしい。細かな事はシュナから聞くつもりなのかもしれない。さて、リムルはベニマルの頬を両手でがっちり掴むと、「ちょっとベニマル君に聞きたいことがあるから、口籠らずにちゃんと答えてほしいなあ」と微笑んだ。何故かベニマルは胡散臭いものを見ているような顔をしたが、諦めて頷いた。
「いやさ、勢いで伴侶だなんだって、こうして今の関係に至ったわけだけど、お前って俺のどこが好きなのかなって不安になってさ」
「どこがって……えっ、今からそれを白状しろと?!」
ベニマルは途端に顔を赤くした。そうなると分かっていたとも、とリムルは掴んでいる頬が多少熱くなるのすら面白がりながら、ベニマルにすり寄る。
「そういうこと。俺の不安を吹き飛ばす為に全部言ってね、ベニマル君」
背けようとするベニマルの顔を何度もリムルに向き合うように固定する。至近距離でその燃えるような瞳を見つめていると、ベニマルが呻いた。
「そんな恥ずかしい事を、俺の口から、ええっ、ええ……」
「嘘、俺のこと好きじゃねえの?」
「好きです! 大好きですよ、そりゃ──うわ、言っちまった、うわあ!」
いよいよ顔を隠そうと暴れ出すベニマルを押さえ付ける。ベニマルの愛情の激しさは毎度抱かれる度に実感するので今更なことだ。その激情の根本は一体何なのかが知りたいのである。
「何も恥ずかしい事なんてないって。俺にいつもどんなふうに思ってるのか教えてくれよ」
恥ずかしい事この上ないと分かっているが、そんな事を言えば絶対この奥手な男は言ってくれなくなる。
頬にキスをしたり、耳を舐めたりしている内に、ベニマルは口を開くことを決めたようだった。
「その、初めて口づけた時に、リムル様がめちゃくちゃ可愛い反応したから、その、可愛いなと」
「ほほう? 続けて」
「それから、二人きりであんな事をしていて、その度にリムル様が気持ち良さそうな顔をするから、俺がリムル様を気持ちよくさせてるんだと思うと、嬉しかった」
「うん」
「穴を作ってもらった時は、リムル様が俺を受け入れてくれるんだって幸せすぎて頭がどうにかなりそうだった。実際、リムル様は俺を受け入れて、可愛がってくれたでしょう。その時のリムル様の表情が、その、艶かしくて、だから、その、」
「エロエロで最高だったと?」
「そんなハッキリ言うな! ……そ、そうです……」
「他には?」
「リムル様が望めば他の奴も閨に呼べたのに、いつも俺だけを誘ってくれた。しかも、伴侶になってから、リムル様は今まで以上に俺の事を大切にしてくれた。指輪とか、二人で暮らす家のこととか、リムル様が言ってくれた言葉全てが嬉しかったし、誇らしかった」
エロい話ばっかりで終わったらどうしようかと思ったが、ちゃんとリムルの行動でベニマルを惚れ込ませることができていたらしい。
「無様な所を見せたこともあったが、これからはリムル様の伴侶として恥じぬよう更に精進するつもりだ」
真面目できりっとした顔で宣言されて、リムルはこれから先不安を持つことはないと確信できた。不敵で飄々とした所もあるが、この男はリムルを裏切ることはない。
「よし、ついでに俺のどこがどうエロいのかも吐いてみようか」
「はあ?! そんなの、言える訳がない! じゅ、充分俺の気持ちは分かっただろ?!」
「いやあ、ベニマルっていつも俺の何に興奮してるんだろうって疑問だったんだよね」
「そんな、そんな……ええ? 言わなきゃだめか?」
「教えてほしいなって程度かな」
「知りたいのは知りたいのかよ……」
「だってさあ、ベニマルの方こそ選り取り見取りじゃん? 色んな女の子にモテてるのに、なんで俺かなって」
ベニマルはあちらこちらに目を泳がせてから、めちゃくちゃ困った顔でリムルを見つめた。リムルの好奇心の強さをいつも体験して、その度に被害に遭っているから、逃げても無駄だと分かっているだろうに、ちょっと抵抗したいらしい。結局、ベニマルはもごもごと口を開いた。
「……その、さっきも言ったように、初めて口づけた時の様子が可愛かったのと、その……うう……穴を初めて作った時に指で解したら、物凄く期待した顔をしてて、実際感じると、その、とても嬉しそうだったし、そういうのが全部、可愛くて、あの……ええ、まあ、その……挿れた時の幸せそうな顔がすごく、グッとくるというか、俺の方こそ幸せな気持ちで一杯になって、頭が真っ白になるというか、まあ、まとめると、常にリムル様は可愛いから、まあ、全部エロいというか……」
素直にも程がある。リムルは羞恥で真っ赤になったベニマルの顔を舐める。ベニマルは驚いたが、大人しくリムルの行動を受け止めて、好きにさせてくれた。舐めてはキスをし、この素直でまっすぐな男をぺろりと食べたい気持ちを舌と口で伝えると、ベニマルの腕がリムルの腰に回って、引き寄せられた。
「今夜はいちいち感想言ってみろよ」
「嘘だろ?」
「今どんな気持ち? 舐められて、キスされて、嬉しい?」
「……可愛くて仕方がないです。抱きたい」
「いいぜ、俺もお前を食いたい」
そのまま、ソファーでリムルとベニマルは抱き合った。いつもは無言で偶に名前を呼び合うだけなのに、今夜のベニマルは逐一リムルのどこがどうエロいかを説明してきたので、リムルも羞恥心が煽られて、いつも以上に女の子みたいに恥じらって、それでも激しさを求めて、ベニマルに縋り付いた。
腰が細くて掴みやすいとか、大きく足を広げてベニマルを受け入れようとしているのにちょっと恥ずかしそうな顔をしててギャップがあってやばいとか、背面騎乗位の時にリムルの尻にベニマルのものが入っていくのが物凄く興奮するとか、射精した後にポッカリと開いたリムルの穴から精液が溢れているのがかなりエロくて堪らないとか、正常位の時に足でベニマルの腰を挟んでくるのが可愛くて仕方がないとか、胸を吸われている時の切なそうな顔がいいとか、抱き縋りながら泣いてる所が最高にエロいとか、イった後のとろんとした顔がエロすぎて死にそうとか、もう、挙げればキリがなかった。ベニマルは一度羞恥心を乗り越えると、寧ろ大胆になるので、調子が乗ってくると、リムルの反応すべてに感想をくれた。
「その顔が、えろい、すごい、リムル様、好きだ」
息を荒くして、たどたどしく、リムルが求める言葉を語り続けるベニマルに、リムルは恥ずかしくて自分の方が溶けて消えてしまいたかった。思っていた以上にベニマルはリムルを好きだったし、そんな細かいところまで見てるのとか、自分はそんな反応してたのかとか、そんなこと考えてたのか、とか、もう限界ではちきれそうだった。馬鹿なことを言い出すんじゃなかったと思ったが、だからといって好きな人に魅力的に見られていると分かる事が嬉しくて、ますます女の子みたいな甲高い声で泣き叫びながら、ベニマルを深く深く受け入れていく。
いつも以上の充足感と幸福感に包まれながら、ベニマルとリムルは何度も抱き合った。
かつてないほどに盛り上がってしまって、いろんな液体でソファーを駄目にしてしまったが、それでもベニマルからの心地よい言葉責めはリムルをかなり興奮させたので、偶にやろうと決めた。こんなのしょっちゅうするものではない。
朝起きて、ベニマルの寝顔を見ていると、どういう訳だか、ふと、これから二人で生きていくんだな、と改めて感じた。勿論、友達も部下も長生きする奴ばかりなので、二人きりで生きていくわけではない。でも、リムルの心のよすがとするのはベニマルで、ベニマルもまたリムルをよすがとする。そのように決めて、そのように生きていく。二人だけの時間を大切にして、幸せになろうと互いに手を取る。誰よりも喜んで欲しいし、幸せにしてやりたいと願う相手がベニマルだ。そんな相手が出来たんだなあ、と不遇の三十七年を思い出して、嬉しくて涙が出た。
だから、寝ているベニマルに口づけて、リムルは仕事に向かった。
