スライムと炎霊鬼の楽しい初夜の話

 披露宴や国賓向けのパーティーを終え、ベニマルとリムルは疲れ切った状態でベニマルの家に来ていた。慣れないことをした上に、招待客が各国の王とか魔王とか、かなり気を使う連中ばかりだったので、恐ろしい程気疲れしたのである。流石のベニマルも八芒星が集まるテーブルには緊張していたらしく、途中で食事を掻っ込んだ際、「死ぬかと思いました」と零していた。
 その気持ちはよく分かるものの、多分恐ろしくなった理由は違う。ベニマルは自分の強さが魔王達に通用しないという点でそう思っただろうが、リムルはこの良き日のために頑張ったあれこれが台無しにされないか、いきなり変なアクシデントが起きないか不安で仕方がなかった。何せ、魔王の集まりである。誰かが何かを画策しないとは言い切れない。幸い、恐ろしい連中の大半が今回は大人しくしてくれたので、乗り切ることができたが、こんなラッキーな事は滅多に起きないだろうとリムルは幸運に感謝した。
 そういう訳で、パーティー用に用意した衣装を脱ぎ、ベニマルが椅子の背もたれにぐったりと寄り掛かって目を瞑っているのを確認してから、リムルは深呼吸して、思考加速で一瞬の内にあれこれ逡巡してから、決意して、シュナが用意してた衣装を着てみた。正直どうかと思うが、こんなのを着てしまうなんてという羞恥心と男としてのプライドと、これを着た時のベニマルの反応は如何ほどかという好奇心と期待がせめぎ合った結果なのである。
 最近のリムルはベニマル関係になるとちょっと頭がバカになるという自覚があるが、しかし、言い訳させてもらうと、生涯のパートナーとして決めた男を前にして取り繕ったり恥じ入ってたりしたら息をするのも窮屈だし、そもそもリムルはやりたい事はなんでもやるし、それにはベニマルが付き合ってくれると思えた事もベニマルを伴侶にしようと思った理由の一つなのだ。リムルはやりたいことは可能な限りやり遂げる。今までそうしてきたし、これからもそのスタンスでやっていく。つまり、これは全然気にする事じゃないし、寧ろ人生を楽しむ為のスパイス、ちょっとしたエンターテインメント、こういう刺激はたまには必要なのだし、大体、今夜しかできない事でもあるのだ、とリムルは着終わったあとに少しだけ復活した後悔と羞恥心を屁理屈で捻じ伏せた。
「ベニマル、その、こっち見てくれないか」
 リムルのはっきりしない物言いが珍しいのか、ベニマルが不思議そうな顔でリムルを見て、目を掻っ開いた。椅子から慌てて立ち上がってリムルに駆け寄ってくる。ベニマルが丁度カジュアルなタキシードなので、リムルの着ているドレスとは釣り合いが取れているだろう。髪型も先程智慧之王のオートモードで編み上げたので、かなりきちんとした感じになっている。
「どうしたんだ、リムル様? こういうの、嫌がってただろ」
 オフショルダーで露出している肩をベニマルが掴んで全身をまじまじと見るので、恥ずかしくなってきた。白を基調とし、青をアクセントとして仕立てられた花嫁衣装に相応しいコサージュが沢山ついたドレスはシュナ一押しの一品である。ヘッドドレスも着けているのが、余計に恥ずかしいのだが、着けなければ中途半端なので着けている。やるときゃとことんやるのが一番なのだ。
「その、白無垢着た時、思いの外お前が喜んでたからさ……。あれはちょっとめんどくさいから、まあせめてドレスくらいは着てやろうかなって。それにこんなの今日以外着ないしな」
 今日はこれでしない? と小声で言ってみたら、ベニマルが是非と力強く返事をした。目がギンギンとギラついていて恐ろしい程である。
 リムルは妙に嬉しくなって、ドレスの裾を持ち上げた。晒される素足にベニマルが息を呑み、ワクワクした顔で入ってきた。その後すぐに驚いた顔で出てきた。
「リムル様! 下着も?! しかもこれやばくないか!?」
「言うな! 恥ずかしいから! 今夜だけだぞ! こんなの今夜だけ!」
 馬鹿! と罵りながらドレスのスカートを被せた。ベニマルはうわあ、とか、おお、とかよく分からない感嘆の声を漏らしながらスカートの中で好き勝手し始める。素足を撫で、オープンクロッチの真っ赤な下着を時々弾くように持ち上げたりしながら、リムルの秘部を手と口で開いていく。いつも以上に情熱的でねちっこい。元々恥ずかしかったのに、ベニマルが下着のラインをめちゃくちゃ撫でるので余計に恥ずかしくていつもとは違う感じ方をして、変なテンションの上がり方になっている。
 ベニマルは花嫁衣装もスケベ下着も気に入ったらしいので、それはそれで満足なのだが、スカートの中で行われている淫らなことについては、予想以上に恥ずかしくて興奮してしまう。
 ベニマルがリムルを食べるように舌と唇でリムルを翻弄する。リムルの体はベニマルとの度重なる行為で刺激されると潤滑の為に液体を分泌するようにしてあるので、ベニマルの唾液とそれが混ざって下品な水音が聞こえる。全部が恥ずかしいけど、やめてほしくないし、寧ろもっと恥ずかしいことをしてほしいなんて欲望がむくむくと湧いてくる。
 こんなの今夜だけ、今夜だけだからこそ、今までにないくらい恥ずかしいことも激しいこともしてほしい。
 もうすぐでイッてしまいそうな所まで追い詰められたというのに、ベニマルはスカートの中から出てきてしまった。恨めしげに睨めば、「そう焦んなって」とキスで宥められた。
 キスに夢中になっていると、片足だけ持ち上げられて、そのままベニマルがいきなり挿入してきた。いつの間に前を寛げていたのか知らないが、普段は何にも隔てられない状態で行為に耽るのに、今日は二人共服を着ているので隔たりを感じてもどかしくて仕方がない。
 ベニマルにしがみつき、より深いキスと挿入を求めると、ベニマルがリムルを抱き上げて宙に浮かせた。いきなりの駅弁に驚きながら、自重でより深く押し込まれたベニマルのものを感じて、リムルは頭が真っ白になった。気持ちよくて仕方がない。リムルがイったことにベニマルも気付いているはずなのに、激しい動きは変わらず、リムルを翻弄する。漸くベニマルが射精した時、リムルは理性の全てが崩れ溶けているのを自覚した。だから、一瞬も抜いてほしくなくて、一旦抜こうとするベニマルに抗議するような喘ぎ声が出てしまった。ベニマルはその声を聞いてめちゃくちゃ嬉しそうに、抜かないままベッドに移動した。
「今日のリムル様、いつも以上にエロいな」
「だって初夜だぞ」
 恥ずかしがりながら答えるリムルにベニマルはニヤニヤしている。なんて下品な顔だ。そんな顔にこれからどんなふうにされるんだろうとわくわくしてしまうリムルもだめな奴なのだ。
「最高の夜にしてやるよ」
「それはお前のテク次第だな」
「なら問題ないな。リムル様だってよく知ってるだろ?」
 ベニマルの自信満々な様子がムカつくくらいかっこいい。
「ベニマルは期待に応える男だってのは痛感してるさ」
 だから早く俺を天国に連れてけとベニマルの耳元で囁くと、「言われなくても」とベニマルが嬉しそうにリムルのドレスを脱がし始めた。上半身が曝け出された時、ベニマルはまた驚いてリムルの名を呼んだ。オープンブラを着けてるのは、オープンクロッチのショーツとセット売だったからだと言い訳させてほしい。
 真っ赤なオープンブラはリムルの可変するバストサイズに見事にフィットしていて、というか殆ど覆っていないからフィットするのは当然で、レースと紐で構成された頼りがいのないエロい下着は見事にベニマルの心を燃やしたらしい。
 ついでにドレスに合わせてぺたんこだった胸を黒霧で大きくすると余計エロくなった。たぷんと揺れる豊かな胸にベニマルがむしゃぶりつく。
 唇で吸い上げて、舌で乳首を転がされ、歯で刺激され、そんな最中にもまた手でリムルの穴を犯してくるのだから、リムルは歓喜で泣きながらベニマルの動きを全て享受する。
 幸せも喜びも何もかもがないまぜになって、リムルを絶頂に導く。全身が痺れるような、ほわほわとした気持ちよさで頭がぼうっとする。
 リムルがイッたのをベニマルは分かったらしく、手ではなく、立派なものを穴にあてがって、また入ってきた。些細な動きにすら喘いで悶えるリムルをベニマルは凶暴な顔で見ていた。目がギラギラしているし、食いつかんばかりにキスをしてくるし、動きが激しくて、最高にエロい。この顔が好きで好きで堪らないとリムルは実感する。愛されていることがよく分かるからだ。リムルはその愛に応えようと、脚を広げて、ベニマルを受け入れる。深く深く繋がり合うことの幸福は、何ものにも代えられない。
 
 正常位で3回はやった後、立ちバックとか騎乗位とか、もう限界なんて考えずにいろんな体位を楽しんだ。そもそも体力的な限界なんて果てしなく遠いし、ベニマルもリムルも性欲の限界がない。つまり、テンションが上がり続けて理性がとろとろにとろけている今、二人は時間を忘れてお互いのギブアップがないことを理由に永遠に抱き合っている。飽きがこないのが恐ろしい。何をしてても楽しくて嬉しくて仕方がなくて、ベニマルの宣言通り、最高の夜になった。
 最高の夜の演出の一つだったドレスは見るも無残な状態になったので、リムルはスキルを駆使してリカバリした。途中で破いたり、色んな液体で汚したりしたので、やり終わって落ち着いたあとに見て二人で蒼白になったのだ。シュナを怒らせても平気な者などいないのである。
 ドレスとタキシードをちゃんと片してから、リムル達は漸く就寝のためにベッドに入った。
 心ゆくまで楽しんだので今夜はもう十分だなあと和み、そういえば今は何時なんだろうと智慧之王に訊くと、リムルの記憶より一日ズレていた。あれ、と思いもう一度確認しても一日増えている。つまり、今現在、結婚式の翌日の早朝ではなく、結婚式の翌々日の夕方らしい。え、嘘だろと思って外を見たら夕焼けが美しかった。
 思い返せば一晩でできる範囲では無いことを連続してやっていたし、お互いに夢中だったのとカーテンも何もかも締め切っていたので、時間経過が分かるものが部屋には何もなかったのだ。
 頭が悪すぎる上に恥ずかしくて死にたいと蹲ったリムルは、何とかして体裁を整える方法、すなわち、盛り上がりすぎて一日中えっちなことをしていましたなどという現実を誤魔化す方法を考えたが、どうあっても誤魔化しきれないと結論した。結婚式した後に一日姿を見せなかったらそりゃそうだろうってみんな思うに違いない。リムルだって他人がそうなっていたら、「お楽しみ中かぁ」と邪推する。
 とにかく、今日はもう終わるので、丸2日仕事をサボったツケは明日何とかしようと諦め、リムルはベッドに潜り込んだのであった。